Hot! 企業訪問 Vol.02 【THK株式会社 – 後編】

 

【Hot! 企業訪問!】 THK株式会社 第二弾!

前回からスタートした新企画。

「機械人Z編集部」が注目している『とても気になる!Hotな企業!』を実際に訪問し、現場エンジニアの方々から興味深い「生の声」を発信する『Hot! 企業訪問!』第2回目(Vol.02)は、前回のVol01に引き続き、THK株式会社です。

【前回記事】Hot! 企業訪問 Vol.01 【THK株式会社-前編】

前編では、THK株式会社のショールームを見学させて頂き、同社のアクチュエーターなど、様々な製品についてご紹介を頂きましたが、今回は、同社が開発を進める新たな「ロボットハンド」についてインタビュー取材をさせて頂きました。

■ THK ショールーム受付の様子THK01

 

THKが開発を進めるロボットハンド「TRX®」

THKが開発した「モノをつかむ」機能を追求したロボットハンド「TRX®」は、同社が得意とする「アクチュエーター」を活用した製品で、たった一つのアクチュエーターで動作するシンプルな構造が特徴となっています。

■ THK ロボットハンド「TRX®」THK09

写真からもわかるように、本当にシンプルな構造となっており、合計3本の指(上側2本、下側1本)で、様々な「モノ」をつかむことが可能です。

【動画】【機械人Z Hot! 企業紹介】THK ロボットハンド「TRX®」

 

今回は開発を担当した、THKの遠藤嘉将氏に「TRX®」に関するインタビューをさせていただきました。

■ TRX を両手に持つ遠藤嘉将氏
DSC_5728

 

宇宙航空研究開発機構(JAXA)とのTRX®事業のノウハウを活かす

遠藤氏によると、THKによるロボットハンド開発の歴史は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同研究に端を発し、宇宙空間にて人間の手の動きを再現する「高出力精細ロボットハンド」の技術やノウハウを活かしたまま「シンプル化」を追求し、コスト削減を考慮した「製品」として世に送り出すことが開発のコンセプトだったそうです。

 

とにかく小型・軽量、そしてシンプルな構造に驚かされる!

「TRX®」は、ボールねじを用いた小型・高出力の直動型アクチュエーターを使用することで小型化実現しています。しかも使われているアクチュエーターはたった一つと、とてもシンプルな構造です。

■ 大きさの異なる2種類のTRX
TRX001
image : THK

電動アクチュエーターの力にて、3本の特徴的な「指」で対象物を掴む構造になっています。指には関節部があり、対象物の大きさ、形状にならって指が折れ曲がるため、様々な「モノ」を一つのロボットハンドで汎用的に掴むことが可能です。掴めるサイズは最大で直径150mmです。(小型のTRX-Sでは100mm)

 

■ どんなモノでも一つのロボットハンドで掴めます
TRX002
image : THK

 

しかも本体の重さは、小型タイプのTRX-Sで、たったの 320gと超軽量です。ロボットハンド自体が軽量になることで、ロボットアームに取り付けて使用する際に、より重いものを搬送することが可能となります。

 

人にやさしい!協同作業もやりやすく!

近年、産業ロボットの分野では、工場内における「人とロボットの共存の未来」に注目が集まっています。まず第一に「共存」の最も重要な要素は、ロボット自体の「安全性」にあるといいます。その面において「TRX®」は非常に軽量なため、同じ空間で作業をする人間にとって、とても「優しい環境」を提供できるそうです。

遠藤氏によると「工場内の様々な場所や、状況によっては今後、オフィス空間などでの利用も可能になるかもしれない」とのこと。

TRX011

遠藤氏によると、「TRX®」は現在、産業機械やサービス・ロボットの分野での問い合わせが多いそうです。

基本的に「人の手の動きを模倣」しているので、今後、人が作業をしている全ての場所へ浸透していく可能性があるとのこと。人が何か作業を進める上で「掴む動作」を繰り返すような耐久試験などには、特に向いているようです。

 

TRXロボットハンドが生まれるまでの開発では苦労話も…

何もかも善いことずくめの「TRX®」ですが、やはり開発には様々な苦労があったようです。

▶  2006〜2010年
JAXAの宇宙オープンラボ制度により、ロボットハンドの研究を開始。当時のロボットハンドは4本指で「アクチュエーター」も4個だった

▶ 2012年頃
JAXAのREX-Jプロジェクトで、ロボットハンドが「こうのとり 3号機(HTU3)」に載せて打ち上げられ「きぼう」にて実証実験を行った。このときのロボットハンドは2本指で「アクチュエーター」は2個だった。

▶ 2013年頃
引き続き基礎研究に邁進。この頃に指が3本になり、「アクチュエーター」は1個のシンプルな構成になった。

▶ 2014年9月頃

この頃より正式に製品開発プロジェクト化され、遠藤氏がプロジェクトリーダーとなる。

▶ 2015年11月10日

「いい手の日」に合わせて、正式にプレスリリースを発表。

▶2016年
日刊工業新聞主催 機械工業デザイン賞を受賞、アカデミック・パッケージ発表。

正式な製品化プロジェクトから、約2年ほどで製品発表となっていますが、基礎研究段階からすると、実際には 2006年から 約10年間にわたる苦労の末に製品化に成功したそうです。

 

機械工業デザイン賞を受賞

「TRX®」は 2016年7月に、日刊工業新聞社が主催する「第46回機械工業デザイン賞/審査委員会特別賞」を受賞しています。機械工業デザイン賞は、機械分野の製品の中で、優れた機能美と性能を併せ持つものを、外部の有識者による審査委員会が選定して表彰するアワードです。

■ 優れた機能を追求すると機械は美しくなるTRX012

 

アカデミックパックも発表

THKでは、「TRX®」のアカデミック・パッケージも提供しており、学校教育法に定める幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学、大学院及び高等専門学校向けに特別価格での提供を行っています。

TRX013
image : THK

販売台数は限定 100 セットとなっていますので、ご興味のある方は以下をご覧ください。

ロボットハンド「TRX」アカデミック・パッケージ

 

エンジニアの遠藤さんのバックグラウンドに興味津々

今回、インタビューにご対応頂いた、THK技術本部事業開発統括部の遠藤嘉将氏は、30代前半の機械系男子です。

遠藤氏の学生時代の専攻は「機械工学」で、当時は医療ロボットの研究をされていたそうです。

幼少期から「機械系男子」だったようで、小学生時代は「ガンダム」や「ミニ四駆」など、とかく「動くモノ」に目がないタイプだったとか。しかも、わずか小学校6年生で将来、機械系エンジニアになることを決めていたそうで、ある意味「あっぱれ!」な小学生ですね。

■とにかく勝ちにこだわった幼少時代TRX014

遠藤氏によると「ちょっと変わった子供、とにかく負けるのがイヤで勝ちにこだわるタイプ、運動はどちらかというと苦手だったので運動では戦わず、工作で手先の器用さや組み立ての早さに徹底的にこだわってました」と語る、爽やかな笑顔がとても印象的でした。

また「THKはとにかく技術系がとても多い会社で、営業職の社員も理系出身者が多く、その面では皆同じエンジニア」とも。

技術者が多く「機械系男子」が働きやすい環境の会社だからこそ、「TRX®」のような魅力的な製品が開発できたのかもしれません。

 

TRX展示会出展関連画像

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IMG_2120_resized
image : KikaijinZ

 

関連情報

ロボットハンド TRX 新登場 | [THK || JAPAN] – Thk.com

ロボットハンド TRX アカデミックパッケージ

第46回機械工業デザイン賞(14)審査委員会特別賞−THK|日刊工業新聞

 

▶ 「TRX」はTHK株式会社の登録商標です。

 

 

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